<就業規則と労務管理> 業務災害と通勤災害


労災保険(労働者災害補償保険)は、原則として従業員が1人でもいれば加入しなければなりません。
労災保険は仕事が原因で生じた病気・ケガ・障害・死亡に対して、労働者やその遺族に必要な保険給付を行うものであり、労働者に対する最も基本的な社会保障と言えるでしょう。
労災保険に加入していない場合、事故が起きると場合によっては何千万円という賠償責任を会社が負うこともあります。賠償金を肩代わりする労災保険は、会社を守る保険でもあるのです。保険料は労使折半ではなく、事業主のみが負担します。

労働災害は「業務災害」と「通勤災害」の2つに区分されます。

勤務中の災害が「業務災害」ですが、業務遂行性と業務起因性が問われます。簡単に言うと、事業主の支配下にあったか、仕事と因果関係はあるのかということです。仕事中であっても、突如会社に侵入してきた者に殴られた場合は業務との因果関係がなく労災とはなりませんが、警備員として勤務していて、侵入者を制止しようとして殴られたという場合であれば仕事との因果関係が認められます。
実際には、上の例で言えば私的な怨恨関係がないか、会社に無関係の者が侵入しやすい状況だったか等の観点から労働基準監督署が判断します。

通勤中は事業主の支配下にはありませんので、その間の事故に関しては会社の責任とはなりません。しかし、仕事をするための移動であることには間違いなく、労災保険は通勤災害も対象にしています。
通勤とは「労働者が、就業に関し、住居と就業場所との間(二重就労者が会社間を移動する時、単身赴任者が赴任先と帰省先を移動する時も含む)、を、合理的な経路及び方法により行うこと。但し、業務の性質を有するもの(出張など)を除く。」と定義されています。(労災法第7条2項)

会社帰りに買い物に行ったり飲みに行ったりすれば、そこからは通勤ではなくなります。ただし、業務と関連のある飲み会に出席した帰りの事故は、労災の対象となるケースがあります。この場合は飲み会参加がどれだけ業務性が高いかがポイントになります。

業務災害によって労働することができず休業する場合は、4日目から労災保険の「休業補償給付」が支給されます。事業主は休業1日目から3日目まで、6割相当の休業補償を支払う義務があります。一方、通勤災害の場合は、4日目からほぼ同一の「休業給付」が支給されますが、事業主は3日間の休業補償を支払う義務はありません。