■退社後のアルバイト
業務に及ぼす影響の程度が問題
 労働契約の締結により労働者に生ずる労務提供の義務は、あくまでも決められた労働時間内に限って求められるものであり、労働時間を越えたプライベートな時間帯についてまで使用者がその行動を支配し、干渉することはできない、というのが原則的な考え方です。

 ただ、この労働時間外のすごし方によって、適正なあるべき労務の提供ができず、 業務遂行に支障をきたすようであれば、就業規則の定めに則って処分することも可能 になります。

 現状、ほとんどの会社の就業規則には、会社の承諾のない二重就労を禁止する規定が設けられており、中には社外でのアルバイトが発覚しただけで直ちに『解雇』と定めるようなものも散見されますが、このような規定があることの一事をもって実際にすぐ解雇できる訳ではありません。

 まずその従業員の業務上のミスや居眠りなどの就業状況に問題が生じていないか、欠勤や遅刻が増えていないか、などを確認し書面に記録してゆきます。もちろんその都度注意を促しながら、一定程度これらの記録が蓄積された時点で改善を促し、それでも問題が続くのであれば副業をやめるように勧告します。

 さらに改善が見られず副業も続けているようであれば、 就業規則に則って 段階的に減給処分、出勤停止処分などを経て最終的には懲戒解雇処分を行う事になります。

 ただ、最近はこの厳しい経済実態の中、残業が減り、賃金が低く抑えられることで生活に支障をきたすようなケースもままありますので、企業としても一概に副業禁止を押し付けにくい状況もあり、中には認定要件を緩和し、会社の許可を得た上で、業務に支障をきたさない範囲内の副業を認めてゆくような動きもありますから、自社の賃金レベルも考慮してこの『副業禁止規定』の今後の運用を判断する時期にきているのかも知れません。