■転勤を命令を拒否する
転勤命令は例外を除いては服すべき業務命令
 就業規則に定めがあるのはもちろんですが、日常的に転勤のある会社では、 転勤命令の内容、目的が不当なものでない限り一般に従業員は転勤命令を拒むことはできません。 この業務命令に従わず転勤を拒否した場合は就業規則に則って、懲戒処分に処することも可能です。

 ただ、例外的に重い病気の家族や常に介護の必要な高齢者などを抱える場合には、その程度によって転勤を拒否するに足る事情があるとその正当性を認められる判断が裁判所から下される場合があります。 上記のように内容、目的が妥当であれば認められる転勤命令ですが、裁判所の判断が会社寄りであったとしても裁判になるまでこじれてしまっては、経営に資するようにと策定した転勤計画自体が期待した効果を上げられないばかりか、他の従業員の士気にも悪影響を与えかねません。こういった状況に陥る前に対象者の家庭環境などを加味し、内々に決まったならば本人とよく話し合った上でできる限り、必要な配慮を行い、納得して新任地へ赴いてもらって、会社が期待した成果を上げられる環境を整えてこその転勤であろうかと思います。

 また最近は、若い層を中心に「気に入らない」などの理由で”あっさり”と退職してしまう傾向が強くなってきているようですから、無計画な転勤命令で優秀な人材を流出するようなことのないように注意深く計画を立てることも必要でしょう。