■自己破産した社員
自己破産のみを理由としての解雇はできない
 近年、自己破産者が急増し社会問題になっている程ですから、自分の会社の社員の中でそういう人が出てきても全く不思議ではありません。そして実際にそういう状況に至ったら、経営者として「辞めてもらいたい」という希望を持たれるかも知れません。色々不安が募るでしょうからその気持ちは良く分かります。しかし、自己破産の宣告を受けたからといって、その一事を持って解雇することはできません。なぜなら従業員として働くことと、個人として破産宣告を受けたことは直接関係がないからです。

 しかし、業務に悪影響があったり、その恐れが強い場合は話が違ってきます。例えば、所属部署が金銭を扱う経理部門であったり、人事部の管理職であったならば、その破産に至った経緯によっては担当業務を任せることが不適当と判断されても致し方がない、ということで配置転換の対象になったりまた転換先のない中小企業であれば解雇の対象にもなり得ます。

 しかし、もし会社側で事前に状況を把握できたならば助言を行い、それほど深刻な事態に至らないよう手を打つことも必要でしょう。