<就業規則と労務管理> 求人広告


「企業は人なり」と言います。経営者にとって良い人材を確保することは重要な課題です。
雇用のミスマッチを避けるには、「求める人材像」を明確にし、条件を提示した上で募集すること重要ですが、求人広告は法律上さまざまな制限を受けます。
今回は、求人広告に関する法律上のポイントについて解説したいと思います。

(1) 年齢制限の禁止
2007年10月施行の改正雇用対策法で、従業員を募集する際の年齢制限は原則禁止となりました。求人広告に「35歳未満」などと記載することは違反です。
年齢ではなく、求める能力、経験、技能などをできるだけ詳細に明示することが必要になります。

年齢制限禁止の例外は以下のようになります。

・定年の定めをしている場合に、定年年齢以下の者を期間の定めのない労働契約の対象とする

・労働基準法など、法令に特定年齢者の就業が禁止されている業務について、その年齢範囲以外とする

・長期継続勤務によるキャリア形成を目的とし、若年者を期間の定めのない労働契約の対象とする

・技能や知識の継承を目的に、特定職種の労働者数が少ない特定の年齢層に限定し、期間の定めのない労働契約の対象とする

・芸術や芸能の分野において、表現の真実性等を確保するために、特定の年齢層に限定する
・60歳以上を対象とする、又は政府の政策に応じて、中高年に限定する

(2) 男女差別の禁止
「営業マン募集」「看護婦」など一方の性のみを表現する名称で募集したり、「女性歓迎」「男性向けの仕事」といった表現を使ってはいけません。

(3) 虚偽の求人広告の禁止
求人広告に載せた労働条件と実際の労働条件が異なっていることをもって、ただちに違反とはなりません。求人広告はあくまでも募集の際の基準を示しており、採用時に書面で明示する労働条件がその後の労働条件として優先されます。

しかし、「虚偽の広告」と判断されれば大きなトラブルとなります。
職業安定法では、求人広告において労働者に誤解を生じることのないよう平易な表現を用いる等、的確な表示に努めなければならないと定めており、さらに虚偽の広告や虚偽の条件を提示して募集を行った者に対しては、罰則規定(6月以下の懲役または30万円以下の罰金)もあります。