<就業規則と労務管理> 高年齢者の継続雇用


平成18年4月施行の改正高年齢者雇用安定法により、すべての事業主に高年齢者の雇用確保措置が義務付けられました。

よく理解しないままに継続雇用制度を導入し、労使の間でトラブルとなるケースがあるため、ここでは高年齢者の継続雇用について解説します。

そもそも高年齢者雇用確保措置は、少子高齢化の急速な進展を踏まえ、意欲と能力のある者が少なくとも年金支給開始の年齢まで働き続けることができるようにするため、65歳までの雇用機会の確保や高年齢者等の再就職援助の強化を図ることを目的としています。
具体的には、65歳未満の定年制を定めていた会社は以下のうちどれかを講じなければなりません。
・定年の引き上げ
・継続雇用制度の導入
・定年の定めの廃止

厚生労働省の調査によると、継続雇用制度を導入した企業が圧倒的に多く、全体の85.8%となっています。(平成19年6月1日現在の高年齢者雇用状況)

継続雇用制度は、原則は希望者全員を対象としていますが、各企業の実情をふまえて、労使協定により対象となる高年齢者の基準を定めることができます。
労使協定のために努力したにもかかわらず協議が整わないときは、特例として平成23年3月31日までの間(300人を超える大企業の場合は平成21年3月31日まで)、就業規則等でこの基準を定めることが可能です。

高年齢者の継続雇用にあたっては、公的年金や雇用保険の制度をうまく活用しながら、本人が納得する賃金、業務、勤務形態を提案し、進めていきたいものですが、話し合い不足、説明不足などにより高年齢者のモチベーションが低下したり、トラブルに発展することがあります。

対象者の基準を適切に定め、就業規則等に記載するのはもちろんのこと、公的年金や雇用保険の制度に関して十分に説明する必要があります。
会社側は社会保険料を支払わなくてすむ、従業員側は年金を調整されなくてすむとして、勤務形態を変えて厚生年金に加入しない場合は、そのメリット・デメリットを伝えなければなりません。雇用契約でなく業務委託のかたちにしてしまうと、労災事故が起きた時等に問題が発生します。
いずれにしても実態と異なるような契約を結ぶことは後々問題が大きくなってしまいます。

法改正により継続雇用制度を導入したものの、うまくいっていない場合には制度を規定する就業規則の見直しも必要となるでしょう。