<就業規則と労務管理> ポジティブ・アクション


ポジティブ・アクションとは、固定的な性別による役割分担意識や過去の経緯から男女労働者の間に事実上生じている差があるとき、それを解消しようと、企業が行う自主的かつ積極的な取り組みのことです。
例えば、営業職に女性がほとんど配置されていない場合に、女性向けに教育訓練を行う等、女性を有利に取り扱う取り組みや、自己申告制度を導入する等、男女双方を対象とする取り組みがあげられます。

男女雇用機会均等法では、労働者に対して性別を理由として差別的扱いをすることを原則禁止しています。しかし、過去の女性労働者に対する取扱いなどが原因で生じている、男女労働者間の事実上の格差を解消するために暫定的、一時的に女性のみを対象とした措置又は女性を有利に取り扱う措置は法に違反しないとされています(均等法第8条)。

企業がポジティブ・アクションに取り組むことは、女性従業員のやる気を引き出し、生産性を向上させる効果があります。また、少子高齢化で労働力が不足し女性の活躍が期待されている中で、企業イメージが上がり、幅広い高質の労働力を確保することにつながります。

ポジティブアクションの進め方は、まず現状を分析して問題点を見つけるところからはじめます。「採用に際し、女性の応募者が少ない」「女性の管理職がいない」「女性が1人もいない部署がある」など、何故その状況になっているのかを分析し、具体的な目標と方法を定めていきます。
目標として以下のようなものが考えられます。

女性の採用拡大
女性の応募を促すため、会社案内等で社内で活躍している女性を積極的に紹介する
採用権限のある者に女性を含め、選考の中立性を確保する など
女性の職域拡大
女性を新たな職域に配置する際に、定着を促す配慮をするため、教育訓練を行う
自己申告制度、社内公募制度、フリーエージェント制度等の導入 など
女性管理職の増加
女性が満たしにくい昇進・昇格条件の見直し
男女に公正な人事考課を行うための評価者研修の実施 など
女性の勤続年数の伸張
法を上回る育児・介護休業制度、育児・介護短時間勤務制度の導入 など
職場環境・風土の改善
女性労働者間のネットワークづくり
男女の役割分担意識解消のための意識啓発研修の実施、啓発資料の作成 など
計画を実施したあとは、成果を従業員に知らせていくことも、更なるモチベーションアップにつながっていくでしょう。