<就業規則と労務管理> 平均賃金とは


「平均賃金」とは、労働基準法等で定められている解雇予告手当や減給制裁の制限額を算定するときなどの基準となる金額です。

具体的には、以下のような場合に必要となります。

解雇予告手当・・・平均賃金の30日分以上
休業手当・・・1日につき平均賃金の6割以上
年次有給休暇日を取得する日の賃金として平均賃金を使う場合
災害補償等・・・労災保険給付の額の基礎となる給付基礎日額も原則平均賃金に相当
減給の制裁・・・1回の額は平均賃金の半額まで
平均賃金の計算方法は、原則は平均賃金が必要になった日の直前3ヶ月間に支払われた賃金の総額をその3ヶ月の総日数(暦の日数なので通常91日とか92日)で割ります。
賃金締切日があれば、直前の締切日から起算して3ヶ月が対象になります。
例を挙げて説明しましょう。

15日締めでその月の25日に賃金を支払っている会社で、9月10日に解雇予告をした場合。
直前の賃金締切日は8月15日です。
8月15日から3ヶ月さかのぼると5月16日で、この期間の総日数は92日間となります。
8月25日に支払った賃金=200,000円
7月25日に支払った賃金=240,000円
6月25日に支払った賃金=210,000円
とすると、200,000円+240,000円+210,000円=650,000円を92日で割って、7,065円21銭となります。(銭位未満切捨て)
解雇予告手当として平均賃金の30日分を支払う場合には
7,065円21銭×30日=211,956円30銭→211,956円(円未満四捨五入)以上となります。

賃金の総額とは、通勤手当など諸手当を含み、税金などの控除をする前の額です。
臨時に支払われた賃金や3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)は含みません。
また、次の期間がある場合は、その日数及び賃金額を控除します。

・業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間
・産前産後の休業した期間
・使用者の責任によって休業した期間
・育児・介護休業期間
・試みの使用期間

日給、時間給、出来高制の場合、上の原則のとおり計算すると平均賃金の額が低くなってしまう可能性があるので、最低保障があります。
賃金総額を総日数ではなく「その期間に働いた日数」で割り、60%をかけた金額と原則の式の金額を比べて高いほうを平均賃金とします。