<就業規則と労務管理> 裁量労働制
裁量労働制とは、業務の性質上、仕事のやり方や時間の配分について使用者側が具体的な指示をすることが難しく、大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある一定の業務について、実際の労働時間ではなく、労使の合意で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。 裁量労働制には「専門業務型裁量労働制」と、「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。 導入できる条件が厳しいため導入率は低く、平成17年の厚生労働省の調査によると「専門業務型裁量労働制」を導入しているのは全企業の3.4%、「企画業務型裁量労働制」を導入しているのは全企業の0.6%となっています。 しかし、労働時間よりも「質」で勤務を評価すべきホワイトカラー層の増加により適用対象の者が増え、今後この制度を導入する企業は増えていくと思われます。 「専門業務型裁量労働制」を適用できるのは以下の業務に限られます。 新商品、新技術の研究開発、人文科学・自然科学に関する研究の業務 情報処理システムの分析・設計の業務 新聞・出版・テレビ・ラジオなどの取材、編集の業務 デザイナー プロデューサー、ディレクター コピーライター、システムコンサルタント、インテリアコーディネーター、ゲーム用ソフトウェアの創作、証券アナリスト、金融工学などの知識を用いて行う金融商品の開発、大学の教授研究の業務、公認会計士、弁護士、建築士、不動産鑑定士、弁理士、税理士、中小企業診断士など厚生労働大臣が指定する業務 「専門業務型裁量労働制」を導入するには、労働者の過半数で組織する労働組合(なければ、労働者の過半数を代表する者)と労使協定を締結し、労働基準監督署へ届け出なければなりません。 就業規則や労働契約にも記載することが必要です。 「企画業務型裁量労働制」は、事業の運営に関することについての企画・立案・調査・分析の業務を、適切に遂行するための知識・経験等を持つ者が対象となります。 導入するためには、労使委員会を設置し、委員の5分の4以上の合意で決議し、その決議を労働基準監督署長に届け出る必要があります。また、定期報告の義務もあります。 裁量労働制を採用しても、休憩・休日・深夜業の規定は適用されます。休日労働や深夜労働に対しては割増賃金を支払う必要がありますので注意が必要です。 |