<就業規則と労務管理> 有期労働契約と雇止め


従業員を採用する時、「正社員」として期間の定めのない労働契約を結ぶケースと、契約社員、嘱託、パートタイマーなど名称はさまざまですが期間を定めて労働契約を結ぶケースの2種類あります。

期間の定めのある労働契約を「有期労働契約」と言います。
あらかじめ定めていた期間の満了をもって雇用契約が終了するわけですが、一般に契約更新を繰り返す場合も多くみられます。
有期労働契約であっても、ある程度の期間にわたり反復更新されており、当の従業員が雇用の継続に期待感を持ってもそれが自然であるような状況になっていれば、実質的には期間の定めのない労働契約と変わらないものとみなされるようになります。
それが突然、「契約期間が終わったので、これで終了です」ということになると、解雇と同じように大きなトラブルに発展します。

こういった「雇止め」(やといどめ)のトラブルを防ぐため、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」が定められています。(平成15年厚生労働省告示、平成20年3月1日一部改正)

ポイントは以下の4つです。

・契約締結時には、更新の有無を明示、更新有りの場合はその判断の基準を明示
・更新有りの明示をしている場合、1年を超えて継続雇用している労働者に対しては、雇止めの少なくとも30日前に予告が必要
・雇止めの予告後に、理由についての証明書を請求された場合は遅滞なくこれを交付すること
・1回以上更新、1年を超えて継続雇用している労働者の契約更新は、契約の実態や労働者の希望に応じて期間をできるだけ長くするよう努めること
(ただし、契約期間の上限は原則3年、一定の場合は5年)

トラブルを未然に防ぐため、新規採用・更新の手続きの際に労働条件通知書や労働契約書によって、契約の期間と更新について明示し、理解してもらうことが重要です。

更新か雇止めかの判断基準としては、

・契約期間満了時の仕事量により、更新・雇止めを判断する
・労働者の勤務成績・態度により判断する
・労働者の能力により判断する
・会社の経営状況により判断する
・従事している業務の進捗状況により判断する

といった例が挙げられます。

雇止めを有効なものとするには、有期労働契約の規定の整備と、更新の手続きは曖昧にせず、書面によってきちんと行うことが大変重要です。